キャッシングに関しては審査対象や借入金額などについてさまざまな噂や意見がありますが、その中でもよく耳にするのが同時に複数の業者に審査申込をした場合についてです。
「1ヶ月以内に3社以上申し込むと確実に審査に落ちる」「同時に申し込むと審査に落ちる」などといったことも言われますが実際のところはどうでしょうか。
さまざまな憶測がありますが結論としてはキャッシングできる業者は銀行・クレジットカード会社・消費者金融などがあり審査基準はそれぞれ異なりますし明確な基準も公開されていません。
しかしより有力な情報はありますのでその内容を以下でまとめて解説します。
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審査の複数件同時申込みは断られる?
基本的に3社以上の業者に同じタイミングで審査申込をすると審査に落ちる傾向があります。急用でどうしても早く現金が必要なので何社かを一気に申し込みをしてどこか一つだけでもその中から審査に通ればいいと考える人もいますがそれは逆効果になってしまうこともあるのです。
これまでの調査から2社までであれば問題なく審査に通りますが3社を超えると融資可決率が急に悪くなります。また融資金額に関してはこれまでの借入実績や他社の借入金額によって異なります。
申込みし過ぎると借りれなくなるはどうして?
短期間で複数の業者に申し込みをするということは非常にお金に困っている人であると想定できますが、業者側からするとそういった人にお金を貸すことはリスクが高く借金を踏み倒される可能性があるので融資を避ける傾向にあります。
また審査の際に金融業者は必ずその人の信用情報を確認してから融資の可否を決定しています。会社が違うからといって借入実績がバレないと思っている人もいますが実際のところは非常に細かい情報まで記録されているのです。
この信用情報について知っておくでなぜ申し込みすぎると借入ができなくなるかの理由がわかるでしょう。
◎信用情報とは
信用情報とは簡単に言うとその人がこれまで利用したキャッシング・カードローン・クレジットカードなどの利用記録になります。
金融機関はその人の現在の利用状況以外にも一定期間であれば過去のものまでさかのぼって調べることができます。きちんと返済していれば問題ありませんがもし万が一返済期日を過ぎて延滞していたりするとその情報まで知られることになります。
◎信用情報に記録されている内容
主に以下のような情報が記録されており人によっては補足事項なども詳細に残されています。
・個人情報(氏名・年齢・生年月日・住所・勤務先など)
・キャッシング・ローン・クレジットカードなどへの申込・契約・借入・返済の記録
・異動情報(通称:事故情報)
◎信用情報を管理している団体や会社
信用情報は以下の信用情報機関が管理しており、全ての金融機関はこの中のいずれかの機関に加盟する必要があります。
そして各金融機関は自社が加盟している信用情報機関の記録を閲覧できるようになっています。
・CIC(株式会社シー・アイ・シー)
・JICC(日本信用情報機構)
・全国銀行個人信用情報センター
◎事故情報は各情報機関で共有される
事故情報とは自己破産や債務整理歴、さらには延滞記録など借入期間中に起こった全ての問題が記録されています。
延滞の期間に関してはその金融機関の裁量によって決まるので明確な日数はわかりません。そして基本的には業者が加盟している情報機関の記録のみ確認することができるのですが事故情報に関しては例外になります。
一度金融事故を起こしてしまうと全ての業者にその情報が知れ渡ることになるので事故歴があると審査に通りにくくなります。
◎信用情報に申込記録が残る期間
各サービスを一度申し込むと審査可否に問わず申込記録が残ります。記録が残る期間は全ての信用情報機関において最長6ヶ月とされています。
またここで一つ注意しないといけないのが申込と診断は異なるという点です。
・申込
名前や連絡先などの個人情報を入力する必要がある場合は申し込みと認識しましょう。もちろん正式な申込に該当するので信用情報機関にその内容が記録として残ります。
・診断
申込に似ているのですが性別や年齢などのそれだけでは個人が特定できない情報を入力する場合は申込ではなく診断になります。
キャッシングやカードローンを申し込む前によく行われるもので業者によっては仮審査や返済シミュレーションと呼ばれることもあります。
◎信用情報は自分で確認できる
各信用情報機関に情報の開示請求を行うと記録されている全ての情報を閲覧することができるのです。
各期間によって異なりますが情報を開示するためには5,000~10,000円程度の手数料が必要になります。最近ではインターネットからでも簡単に確認することができるようになりました。
年収の3分の1以上の貸付は違法になる?
貸金業法が2010年6月に完全施行され総量規制と上限金利の引き下げが導入されるようになりました。
上限金利の引き下げについては法外な金利で貸し付けている業者を取り締まるためのものですが、総量規制に規制に関しては利用者側もある程度は理解しておく必要があります。
◎総量規制とは
借入できる金額に関する規制のことでこの貸金業法によって年収の3分の1以上の借入が原則禁止になりました。
例えば年収300万円の人は100万円までの借入ができるのですがここでいう年収の3分の1の定義にはいくつか例外や除外事項があります。
自分が借り入れできる金額を事前に把握するためにも知っておきましょう。
○総量規制の除外
除外項目として含まれる事項に関しては総量規制から対象外になります。自動車ローンや住宅ローンのつなぎ金が代表的な例になります。
総量規制除外事項
・不動産購入又は不動産改良の為の貸付(その為のつなぎ融資を含む)
・自動車購入時の自動車担保貸付
・高額医療費の貸付
・有価証券担保の貸付
・不動産担保貸付
・売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付
・手形(融通手形を除く)の割引
・金融商品取引業者が行う500万円超の貸付
・貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介(施行規則第10条の21第1項各号)
○総量規制の例外
例外の場合は除外とは異なり総量規制の対象となりますが例外として認められている項目は年収の3分の1を超えても問題ありません。
もちろん業者が審査の際にきちんと返済能力があると判断した場合に限ります。
総量規制例外事項
1. 顧客に一方的に有利となる借り換え。
2. 緊急の医療費の貸付。
3. 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金貸付。
4. 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付。
5. 個人事業者に対する貸付。
6. 預金取り扱い金融機関からの貸付を受けるまでの「つなぎ資金」に係わる貸付。(施行規則第10条の23第1項各号)
銀行借入やクレジットカードのショッピングは総量規制の適用外!?
総量規制は貸金業法に含まれるので貸金業者以外には適用されないものになります。そのため銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫などは貸金業者に含まれないのでそこからの借入に関しては年収の3分の1の借入に含まれません。またクレジットカードの場合はやや複雑になります。
というのもクレジットカードにはキャッシング枠とショッピング枠の2種類があるからです。キャッシング枠に関しては貸金業者が適用されますがショッピング枠に関しては割賦販売法が適用されるので総量規制の対象からは外れます。
◎総量規制の判断は?
総量規制にあたる借入の残高に関してですがこれは信用情報機関を通して業者が調べています。先ほども述べたように信用情報機関の記録は共有されることもありこういった残高に関しても厳格に管理されているのです。
万が一業者が誤って年収の3分の1以上の貸付をしてしまうと行政処分の対象になりますので業者はきっちり調べた上で融資の可否を決定します。
同日申込みでなければ良いのか?
同日申込でなければ複数の申込をしても審査に通るという声を聞くことがありますが実際のところは“同日申込に比べると通りやすい”というぐらいです。
申込記録は最長で半年間は残りますのでその期間内であれば1社に絞って申し込むより審査に落ちやすいのは言うまでもありません。同日でなくても2社程度の申込にとどめておく方が無難だと思います。
他社で融資を断られた理由
借入先が複数社ある人や総量規制外の借入金額を希望した人が融資を断られても納得できますが中には全く借入実績が無い人も断られることがあります。
先の貸金業法が施行されてから1人あたりに貸付できる金額に上限ができたので、その上限までまだ余裕がある人には積極的に融資したいとどこの業法も考えるのが普通です。
しかしこのような状況で最初に申し込んだ業者から融資を断られた人というのは他の業者も何か問題があるのではないかと疑われて貸付を渋る傾向があります。
特に短期間のうちに複数社に申し込んでいる場合は緊急で現金が必要でその用途には不信感が募るのも仕方がありません。最悪の場合は貸し倒れや逃亡のリスクがあると判断された場合は借入ができません。
複数申込みする対策
対策としてもっとも知られているのが事前に仮審査や借入シミュレーションを行うなどしてある程度業者を絞ってから申し込むやり方です。
最近ではインターネットからでも匿名で行うことができるのでむやみやたらに何社も申し込む前にある程度の審査の可否は知ることができます。
申込をしなければ信用情報機関に申込記録が残らないので今後の借入の際に不利になることはありません。
また同時に2社申し込む場合も銀行と消費者金融に分けて申し込むようにすることをおすすめします。審査基準も異なることが多いので借入できる確率は上がるでしょう。
最近では審査結果が最短で数十分程度で出ることもありますのでもやもやする時間も少なくて済みます。
以上になりますが、早く借入したい場合でも焦らずに仮審査などを行って一社ずつ吟味してから申し込むようにしましょう。最終的にはこのやり方で進めていく方が無駄な時間や手間が省けるはずでしょう。